第1回ユッコギワークショップ

 以前「只見の仕事着ユッコギを集めています」とご案内しましたが、今日は第1回ユッコギワークショップを行いました。

 事務局や講師など18名の参加者がふるさと館田子倉の2階に集合。

まずは昔作って着ていた世代を代表して、只見地区の新国さんにお話を伺いました。

 女性用、男性用とありますが、ユッコギと呼ばれる下のズボンが64着集まりました。そのほかに帯や絣の上着、半纏、着流し、袴、反物も譲っていただきました。

 会場には集まった仕事着がずらり。

 新國さんは田子倉で暮らしていた中で、田子倉ダムの建設にあたり只見地区に引越してこられました。宿屋さんでもあるので、長岡(現在の栃尾のあたり)から反物を売りに来られた業者さんが何日も泊まり、行商に歩いていたそうです。

 今回、ユッコギを集めている中で町内にあったいくつかの商店、今はそのお店もないのですが、そのお店で反物が売られていて、そこで買ってご自分で縫っていらっしゃた方が多いようです。

 また、仕事着なので、日に何度も着替えるため、自分用に何着か持って着まわしていたそうです。作業で使うので一年でほつれたりしてしまうこともあったそう。そんな時、新国さんは表と裏を返してもう一度縫い、さらに一年着まわしたこともあったそうです。最後に着られなくなった布地は、雑巾のように使ったそうです。

 

 ユッコギも、昭和30年代ごろまでは前後にヒモがあり脇が大きく開いている形だったようですが、ゴムの普及と、上着としてのブラウス(洋服)が普及してきたことにより、腰回りはゴムに変わっていったようです。ヒモタイプは前と後ろをそれぞれ前に持ってきて結び、作業中に用を足す際には後ろのヒモを緩めることで、外で素早く用を足せるようになっていたようです。また、脇が開いているのは、おそらく上着であった絣や着物の裾を中に入れ込むため、余裕を持たせるために開いていたのではないかと思います。

 参加者に実際に着てもらい、新国さんに着付けをしていただきました。上着を帯で締めて固定し、その上にユッコギを履きます。写真では見えないのですが、ユッコギは足首から膝までの間が非常に細く、消防服や野球のユニフォームのソックスのようにキュッとなっていて、私はとても入らないのですが、昔履いていた方は、窮屈に感じるほどの足回りのおかげで、力が入って動きやすかったと言っていました。

 只見町では、ユッコギの他、ホソッパカマ(ほそいはかま)、カリアゲユッコギ(かりあがりゆっこぎ)は作業用のズボン、モンペはユッコギよりも幅広で、足首のあたりも苦しくなく、作業用というよりはお出かけの時に履くもの、そしてハカマは儀式や正式な場で履くもの、という風に分けて呼ばれていたようです。ちなみにユッコギはゆきをこぐ、ゆきこぎが語源のようですが、カリアゲは刈りあがり(イネや草を刈る)から来ているのかな、と想像して聞いています。詳しいことはもう少し聞いてみないとわからないです。


 只見町内で使われていた生地は、会津木綿の青木縞や加茂縞(新潟県の現在の加茂市)が多かったようです。女性用の生地は赤い縞が入っているものが多く、男性用は黒、緑、紺色の縞が多く使われていました。


 只見町は、今年7月に大倉地区(只見駅から車で15分ほどの縄文時代にあった窪田遺跡の発掘跡がある地区)に「只見町モノとくらしのミュージアム」が開館します。約50年前から始まった、只見町にある民具の調査(収集と整理)は、現在国の重要有形民俗文化財に指定されています。「会津只見の生産用具と仕事着コレクション」として2003年に指定されました。

 展示スペースの他、体験ブースも予定されている中で、只見町だけでなく、日本中で戦後からわずか10年足らずで経済成長へと大きく生活が変化していった時代に使われていたものが新しいものに取って代わり、受け継がれずに消えていくものも多く、ユッコギやモンペなど、60代の方々ですら履いたことがないものになっています。

 今回譲ってくださった方々の多くは、昔着ていたがもう履かない、しかし捨てるに忍びない、親のものだが処分に困っていた、まだ新しいものだからもったいないけど、自分では使わない、ということを口々に話されていました。

 これから、譲っていただいたユッコギから、参加者それぞれのサイズ、デザインで新たなユッコギを作っていく予定です。ちなみに型紙や縫い方も町民の方が製作・指導してくださいます。いろんな才能を持っている方がいますね。

 てぼっこな私はできるだけ大きな男性サイズをそのまま使いたいなと思っています。普段着として、仕事着として、生まれ変わったユッコギが町のあちこちで着られることを楽しみにしています。

 


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